おそらくはそれさえも平凡な日々

肉じゃがメタアナリシス

このエントリーはバズレシピ Advent Calendar 2023、11日目の記事です。

日本人皆が大好き肉じゃが。メジャーな料理なので、多くのYouTuberがレシピを公開してくれている。ここでは私がよく見ている料理系YouTuberの中から以下の動画を参考にして、最高に美味い肉じゃがの作り方を考察してみたい。

豚肉か牛肉か、男爵かメークインか

まず主役の肉とジャガ。意外と肉は牛肉派が多かった。リュウジさんだけ豚肉。さすがは庶民の味方ですね。まかないチャレンジは分量が多いので、半量くらいにすれば他のレシピと大体目方が揃いそう。

リュウジさん 豚 250g 男爵 400g
クラシル 牛 300g メークイン 3個
シズるチャンネル 牛 200g メークイン 200g
まかないチャレンジ 牛 400g 言及なし(多分男爵) 1kg
くまの限界食堂 牛 150g 言及無し(多分男爵) 3個
コウケンテツさん 牛 200g メークイン 2個

複数見て気づいたこととしては、牛肉とメークイン、豚肉と男爵という組み合わせが良いようだ。関西のすき焼きのような、砂糖強めの上品な甘カラな味付けの場合には、牛の脂とツルンとしたメークインの食感が合うのだろう。

また、肉とジャガの分量は肉1に対してジャガ1.5~2くらいが目安になりそう。

私としては、豚肉と男爵の組み合わせで作りたい。個人的に肉じゃがって庶民料理だと思うので、どうも牛肉を使う気になれない貧乏性。

その他材料

玉葱 人参 白滝 青味
リュウジさん 250g 300g 200g 青ねぎ
クラシル 1個 1/2本 - 絹さや
シズるチャンネル 260g 160g 160g -
まかないチャレンジ 2個 - 180g モロッコインゲン
くまの限界食堂 1/2個 1/2本 - -
コウケンテツさん 1個 1/2本 - -

見比べてみると、玉葱は当然マスト。人参もほぼマスト。白滝は半々。青味は案外使われていなかった。動画映え的には必ず使われそうなものだが意外。リュウジさんは適当なようで、こういうところで最後に青ネギを散らしてくるところが流石感ある。

私としては、白滝は欲しい。出汁を吸った白滝美味しい。青味は絹さやがあると色味としても食感的にも嬉しいけど、処理めんどいし無くても良い。

下処理Tips

しらたきのアク抜きは水道の温水で十分

アク抜き済みのやつならそのまま使えばいい。アク抜きする場合でも別に茹でこぼさずとも、リュウジさんの動画にあった、水道の蛇口から出る42度くらいの温水をつかってザルで洗えばよいというのは、機会があれば真似したいと思った。

じゃがいもの皮むきにアルミホイルを使う

芽さえ取れば、皮付きでも良いと思っているが、これもリュウジさんの動画にあった、アルミホイル丸めて、たわし状にし、それで皮をこそぎ剥くのは面白いアイデアだった。

これはやってみたが、歩留まりも良いし、剥ききらずに皮の風味も残る感じになるので結構良い。ただ、時間は包丁で剥くのと実はそこまで変わらない。

玉ねぎの皮むき前に水につけておく

包丁で上手く剥けるようになりたい…。これは、まかないチャレンジにあった、皮を剥く前に水に漬けておくというのは結構良かった。玉葱の皮がばらばらになりづらくなり、まとまって剥きやすくなると思う。

調理工程

玉ねぎの切り方

基本はくし切り。面白かったのはコウケンテツさんのレシピで、半量は薄切りにするというもの。これは先に入れる玉葱は薄切りにして、タンパク質分解酵素を働かせやすくして、肉を柔らかくするため。

具材への火の通し方

具材を最初に炒めてメイラード反応で香ばしい旨味を引き出すか否か。特に悩ましいのが肉で、肉は炒めると固くなりがち。柔らかい食感を出したいのであれば炒めずにふわっと煮たい。ここは、それぞれ調理方法が千差万別で面白い。

  • リュウジさん
    • 普通に肉から炒めてから無水で蒸し煮
  • クラシル
    • 全く炒めないで煮るのみ
  • シズるチャンネル
    • 野菜を先に炒め、肉はほぐすくらい軽く炒めてから煮始め
  • まかないチャレンジ
    • 肉の半量を先に炒め、野菜を加えて煮始め、その後残った半量の肉を後から加える
  • くまの限界食堂
    • 最初に肉を軽く炒めてから取り出し、また煮るときに再投入
  • コウケンテツさん
    • 炒めない。最初に薄切りの玉葱と牛肉を割り下で煮て、残りの具材を入れてまた煮る

ここで面白いのが、まかないチャレンジの半量を炒め、半量を後入れする方式。メイラード反応の香ばしさと、ふわっと煮た柔らかい肉の両取りを狙う欲張り手法。これは参考にしたい。

クラシルとコウケンテツさんは全く炒めておらず、上品な優しい味になりそう。また、クラシルさんのレシピでは、火を通した後に冷まして具材に味を染み込ませることを手順に明示している。炒めて味にパンチを出さない分、しっかり具材に味を含ませるというのが大事なのでしょう。丁寧に作る場合はそういう作り方をしたい。

味付け

醤油 みりん 砂糖 だし 生姜
リュウジさん 大4 - 大2 大6 白だし 大2 - 15g
クラシル 大4 大4 大1 - 顆粒だし 3g 900cc -
シズるチャンネル 85g 60g 80g - 出汁 400g - -
まかないチャレンジ 大6 - 大6 200cc - - -
くまの限界食堂 大3 大2 大1 - - 300cc -
コウケンテツさん 大3 大1.5 大1.5 大3 - 400cc -

醤油に対して、みりんや砂糖で甘味を足す。甘みの加え方は結構バラバラだが、みりん+砂糖の量が、醤油と同じかそれより少し多いくらいにどれも調整されている。

みりんを使わないレシピがあるのも意外。リュウジさんとまかないチャレンジがそうだが、この2つは水を使わずに酒で蒸し煮にしている点が共通している。酒で旨味が足されているので、みりんはなくても良いということかも知れない。個人的Tipsとして、酒+砂糖で調味するときは、砂糖の代わりに一部ハチミツを使うと、味に奥行きが出て良いです。

旨味について考察すると、肉じゃがだと動物系のイノシン酸は肉から出るから良いとして、昆布系のグルタミン酸の旨味成分もあると嬉しい。上3つのレシピはダシ系の調味料を加えることでそれを実現していると思われる。

グルタミン酸で考えると、味の素を加えるというのが良さそうだが、意外とリュウジさんのこのレシピでは使われていなかった。みりんを使わず、白だしと生姜を加えている点でも、攻めた味付けになっているといえる。このレシピだけ生姜が使われてるが、このレシピだけ豚肉なので、臭み消し的な意味合いもあるのかも知れない。

私としては、醤油 : みりん : 砂糖を 2 : 1 : 1 くらいで味付けをして、味の素も適宜振り入れ、水を使わずに酒で蒸し煮にするのが良さそうに思っている。

落し蓋

荷崩れを防ぐ意味でも、味を均等にしみさせるためにも必要。クラシルで、キッチンペーパーを落とし蓋にする方法を紹介しているが、この方法が個人的にもベスト。煮汁少なめの時でも味が行き渡る。

リュウジさんとまかないチャレンジは落し蓋をしていなかった。蒸し煮で時短で作るレシピだからだとは思う。ただ、蒸し煮にする場合であっても、煮汁が少ないこともあって、落し蓋したほうが良いと思っている。キッチンペーパーを使うやり方だったら手間もかからない。

他のレシピだと、クッキングペーパーを器用に切って落し蓋にする方法を紹介していて、よく見る方法だけど、個人的には手間に感じてやったことはない。

レシピ完成形

上記のメタアナリシスを踏まえ、完成形のレシピはざっと以下のようになる。

材料

  • 豚肉: 300g
  • じゃがいも(男爵): 450g (3個程度)
  • 玉葱: 250g (1 ~ 1.5個)
  • 人参: 100g (1/2 ~ 1本)
  • 醤油: 大4
  • みりん: 大2
  • 砂糖: 大2 (一部ハチミツで代用推奨)
  • 味の素: 8振り
  • 酒: 120cc

手順

  1. 肉を半量炒める
  2. 薄切りにした半量の玉葱、人参、じゃがいもを加えて軽く炒める
  3. 調味料、残りの肉と玉葱、白滝を加える
  4. キッチンペーパーで落し蓋をし、その上から酒を注ぐ
  5. 蓋をして蒸し煮をして火が通れば完成

一回冷ますとより味が沁みて美味しくなるでしょう。青味はお好みで加えてください。

クラシルやコウケンテツさんのように炒めずに時間をかけて丁寧に味を含ませるやり方も別解となるので、それもやってみてください。

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2024-01-07T16:38:38+0900

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