2009年2月17日
PHPの書籍をまとめてみる
一応PHPも業務で使えるレベルになったと思うので、これまで学習がてら入社前、入社後に読んだPHPに関する書籍をちょっとまとめてみる。
初めてのPHP&MySQL
PHP言語とPHPでのWebアプリケーションについてイメージを掴みたく、ざっくり網羅している本が読みたかったので最初に買った本。大体狙い通りの内容が書いてあった。他の言語である程度開発経験がある人が、PHPでのWebアプリケーションの開発となった際にこれを読めばコーディングは始められるかなという感じ。古い情報もあるけどね。
PHPサイバーテロの技法 攻撃と防御の実際
これはめちゃくちゃ良い本。PHPに限らずWebアプリケーション製作者必読書だと思う。様々な攻撃方法と、それに対する防御方法を事細かに書いてある。それでいて単なるケースワークに留まらず、攻撃方法が分類されてまとめられているので、Webアプリケーションのセキュリティに対する知識がしっかりと身につくと思う。恥ずかしながらヌルバイト攻撃の具体的な内容はこの本を読んで初めて知った。
それと驚いたのは画像ファイルのExif情報もXSSのターゲットに成り得ると言うもの。画像共有サイト等で撮影カメラの情報等のExif情報を読み出す処理を行っているWebアプリケーションでは、Exif情報にjavascriptを埋め込まれて攻撃される可能性があるので、ちゃんとExif情報のチェックを行わないといけないという。
確かにそうだけどすごく盲点。そういうことを考え付くヤツがいるってのが恐ろしい。
上記2冊が入社前に読んだ本。以下2冊が入社後に読み足した本。
プログラミングPHP
結局言語仕様とかちゃんと知りたくなって買ってしまうんですよ。馬鹿だよね。分量も少なくさくっと読めた。PHPは良くも悪くも関数依存で複雑な機能は無いので本の中で別段難しいところは無かった。
PHP5系が対象の本だけど、既に古くなってしまっている情報もあって、クラスのメンバ変数の宣言がvarだったり、DB連携のモジュールでPEAR::DBを取り上げてたりする(PDOの項目も少しあるけど)。その辺少し注意かな。
まるごとPHP! vol2
PHPの最新動向を知りたくて、実践的なコードを読みたくて買った本。
再学習PHP5の項目では、php.iniファイルついての解説や、オブジェクト指向、例外処理、PDOなどへの解説がしっかり書いてあって、かなり有用でした。「プログラミングPHP」よりも知りたい情報が書いてあったかも。
フレームワークの比較や、テスト駆動開発などについての記事も面白かった。期待していた以上に役に立った本。
投稿者 Songmu : 23:26
2008年10月11日
野菜の便利帳
表紙にひかれ、中身をぱらぱらめくって即購入。超便利!フルカラーでレイアウトもきれいで、1,365円!安すぎる。
左開きで縦書きってのも良い。見開きで一つの野菜を取り上げるのが基本パターンになってます。
右ページに野菜の写真と概要、品種の紹介が載っていて、左に保存法、調理法、旬の時期や豆知識が載っている。
見るだけでワクワクするし、端々に新発見がある。食材に対する理解を深められるので、こういう本はすごく好き。
レシピを見たって作れる料理が一つ増えるだけだけど、こういう本を読むと作れる料理のバリエーションが大きく広がる。それに今やレシピなんてネットで十分な時代だから、こういう本の作り方がより求められてくるでしょう。
しかし、最初にも書いたけど、フルカラーで1,365円は安いわ。と言うか一般書はそれが普通なのかね。技術書が高すぎるんだな、ホント。オライリーに幾ら注ぎ込んだかわからん。10万は軽く越えてるよ。オライリーだけで。
投稿者 Songmu : 23:40
2008年9月18日
輝きのかなたへ
和地さんの2冊目の本。買ってから半年経ってやっと読んだ。
何度か話題に出しているが、自転車500mTTのマスターズの世界記録保持者でありながら、2児の母として主婦もやり、学校で教鞭もとっているという冗談みたいな人。こんなふうにエッセー集も出しその挿絵も描くという、とにかく多才な人なのだ。私のリアル知り合いでは一番すごい人の一人でしょう。
お話していても本当に魅力的な人なので、この本を読んでいると、和地さんについて知らなかった色々な面を知ることができ、それだけでも楽しかった。
ちなみに、以下の一文には衝撃を覚えました。
去年の暮れからときどきコーチをしてもらっている方には、
「選手になれず、変わったおばさんのレベルから抜けられないなら、指導法を考えます。本気で強くなりたいのですか?」
と言われた。
レベルがぜんぜん違うけど、自分に言われているようで、ホントスンマセンという感じ。私も「多趣味無芸な変な中国人もどき」から脱却しなきゃいけないなぁ、とか最近常々思います。現状を打破しないと、ホント。
投稿者 Songmu : 21:49
2008年8月29日
前巷説百物語
良いわー。やっぱ京極夏彦はクオリティーが安定してて素晴らしい。
シリーズの他の作品の比べると、人死にが多く陰惨な展開で、そういう意味じゃ少し異色でした。又市の過去や、シリーズ他作品の謎に対してきれいに風呂敷を畳む形になっていて、上手くシリーズの幕をひいたなぁという感じ。
巷説→続→後→前と、出しすぎじゃね?とか思ってたが、これでしっかりシリーズ完結という感じですね。
お約束通りの展開なんだけど、意外性を含んでいる。このシリーズは京極夏彦の切れ味を味わう分にはうってつけの作品だよ。短編になってるからさくっと読めるしね。
投稿者 Songmu : 01:07
2008年8月25日
初めてのActionScript3.0
紀伊国屋行ったら置いてあって手に取った。オライリーのくせに表紙の動物がカラーとは何事か!?とか思ってたら、中身もフルカラーでした。失礼しました。お見それしました。
これで、480ページ3570円(税込)は安過ぎ。即買い一歩手前まで行きましたよ。
てことで、ActionScript3.0を学ばないとなぁ。ずっと課題になってます。ちなみに、Amazonアフィリエイトの個別リンクもこの形式で貼るのはやめたいと思っているのだが、変えるなら一括で変えたいと思っていて、ずっと棚上げになっていると言う。
棚上げと言えば、このBlogのCSSやテンプレートもずっとちゃんと書き直そうとか考えているまま何年も過ぎたまま。最近はやろうとも思わなくなってきた。
投稿者 Songmu : 02:01
2008年5月10日
小飼弾のアルファギークに逢ってきた
さくっと読み終わった。買うほどの本でもなかったなと言う印象。WEB+DB PRESS誌で読んだ内容がほとんどだったし。
まあ、218ページの以下の記述には思い当たる節があったね。まさしく今の自分の課題だから。
常に、どうやったら自分をクビにするような状況に持っていけるかを、常に考えましょうと。
私なしで今の会社が成り立つようにする事が今年の目標なんだけど、同僚陣には「それは無理ですよ」とか否定されまくった。ヒドス。
別にこの本よりよっぽどまともな書評を書きたい本も最近読んだ中にかなりあるんだけど、ノリで書いた。
投稿者 Songmu : 23:48
2006年12月 1日
詳説 正規表現
正規表現はスゲェ。私が使っているEmEditorにもGrepの機能が付いているのですが、これまで単純な文字列置換にしか使ってませんでした。もちろん正規表現も使用可能なのです。むしろ正規表現がGrepって話もあるので、これまでこの機能を全然使いこなしていなかったということです。
これまでもたまにメールアドレスの整合性チェックの為にJavascriptなんかで正規表現を使うこともあったのだが、正直なんのことだかほとんどわかっていなかったのです。こんな便利なものだったとはね。
この本は、網羅性が高く体系立っていて1からしっかり説明してあるので、初めて正規表現に触れる人間が読めないことは無いが、しっかり読まないと理解は難しいという、非常にオライリーの本らしい作りになっています。ある程度使ったことの有る人でもしっかり理解するのは難しいかもしれません。もちろん私も全部理解できたわけではないのです。その分読み応えの有る本です。オライリーの本はそこが良い。
この本を読んだら、またPerlを勉強したい熱が高まったが、ちょっと方向性がずれる感じがするので、現状では手を出さないことにする。しばらくコンピュータ関係の本は控えて、久し振りに中国語を勉強する予定。
463ページなのに¥5,670 という値段なので、恋人に絶句された。「どうせ4000円位するんでしょ!?」とか言って値段を見たら、予想をさらに上回る値段だったのでビックリしたようです。
htmlファイルを対象に、
</?(table|tr|td|th)[^>]*>
とかやれば、テーブル関係のタグを一斉に選択できるので、それを一気に削除したりするとなかなか爽快。テーブルレイアウトのページをCSS化する時なんかに非常に便利。
話は変わるが、最近はブラウザごとの差異を意識してCSSを書けるようになってきて、簡単なページであれば、特定のブラウザによる表示の崩れなんかは起こさないようになってきた。
Html+CSSで簡単なドキュメントを作ってWeb上に公開しつつ、PDF化して告知用チラシ、配布用資料などとしても活用するなんて乱暴なことも行うようになった。
こいつの欠点は、職場では私以外には修正が出来ないということですね(笑)
投稿者 Songmu : 23:50
2006年11月 3日
邪魅の雫
読みやすかった。800ページ超の割にはあっさり読み終わった。6時間くらいかな。つまらなくはないし、むしろ面白かったので早く読み終わったと言う見方もあるのだが、どうも毒が足りないね。前作同様、タネもトリック(?)もわかりやすかったし。
京極作品でありながら、狂気に満ちた人が出てこないから物足りないのだろうね。せいぜい大鷹のような阿呆くらい。大鷹の描写はよく出来ていたけどね。思考が飛躍するのだが、その自覚がない人ってのは確かにいるし、そういう人はこういう風に動いているのかと、妙に納得させられた。
個人的には、榎木津がどんどん一般人染みて来たのが残念だよ。今回はそういう設定だったとは言え、榎木津だけでなく、作品全体的にパワー不足なのです。
ちょっと批評染みてしまったが、決してだめだったわけではない。京極作品の読者だったら読めばよいと思う。京極作品にしてはイマイチだっただけなので。作家の値うちみたいに点数をつければよいのかな。絶対整合性がつかなくなると思うのでやらないけど。
投稿者 Songmu : 02:06
2006年9月21日
まほろ駅前多田便利軒
やられたと思った。町田はそれだけで小説の題材になりうる稀有な街だが、その街を題材をこの小説は上手く描いている。この小説の舞台となるまほろ市は町田をモデルにしたというよりかは、明らかに町田そのものである。その町田を的確に描写し、小説の舞台に仕上げた筆致はすごい。町田が大好きな私がアラを見つけられず、町田がきちんと書けているというのだから間違いない。
直木賞受賞作なんですね。私は恥ずかしながら、三浦しをんという作者も知らなかったよ。町田在住だというのに。
便利屋の主人公が一つ一つ依頼をこなしながらストーリーが展開していくさまは、連載マンガのようでライトノベルっぽいノリだ。登場人物もすこし非現実的に誇張されたしっかりしたキャラ設定を持っており、その辺りもマンガちっくだ。その分わかりやすく、けっして人物のパーソナリティーが薄っぺらくもないので感情移入もしやすい。読みやすいので、頭を休めるのにも最適でした。
ものすごい名作というわけではないが、楽しめる作品になっている。特に町田を知っている人にとっては。文学としてみるにはもうちょっと踏み込んだ描写が欲しかった。いろいろダークな部分を垣間見せるものの書ききれていないように思う。
私は町田の隣の相模原市に住んでいるが、これまた変な都市だ。人口が60万を超えているにもかかわらず、全国的な知名度は散々で、大都市としての威厳を全く持たない妙な都市なのである。ここも小説の題材になりそうな気がしている。
投稿者 Songmu : 23:28
2006年8月17日
「へんな会社」のつくり方
株式会社はてなは数あるITベンチャーの中で、私も働いてみたいと感じているし、応援している数少ない企業だ。その若き社長、近藤淳也がCNETで連載していたブログやインタビューをまとめたのがこの本。
立って会議をしたり、毎日違う場所に座って仕事をすることが決まっていたりと、ユニークな仕事方法で有名な株式会社はてなだが、それはやはり、この社長あってのものなのだ。だからこそ、サービス開始当初はネタとも思われていた人力検索がここまで大きくなったわけだ。
この近藤淳也って人は、大学時代に自転車で日本一周したり、国体に出たり、今でもツールド信州なんていう日本有数の山岳レースを企画していたりと、かなり自転車に乗れる人なのだ。なので自転車乗りらしい柔軟で自由な発想を持っているように感じる。自転車レースの勝つか負けるかの争いと、自分のペースでいろいろ楽しめるサイクリングの両方の魅力を知っているわけだ。それもかなり高いレベルで。
この人の根本にあるもののひとつにその体力があげられると思う。その気になれば一人で何処までも突っ走ることができるくらいの体力。はてながここまできたのも彼の体力に裏打ちされたパワフルさが大きいと思う。余分なことに手を出すことができ、それでへまをこいたとしてもカバーリング出来るくらいの体力。
私も彼を見習って、周りに引かれるくらいの体力を維持していく所存である。
投稿者 Songmu : 03:02
2006年8月 2日
チーム・バチスタの栄光
良かった。ストーリは山場らしい山場もなく淡々と進んでいく癖に飽きさせないのが不思議な作品。真犯人じゃないヤツに疑惑をかけてみるとか、ミステリにありがちなそういった展開が全くないのだ。もう少し黒崎教授あたりに疑惑を向ける展開があってもよさそうなものだが、それをやってしまうとバランスが崩れてしまうでしょう。それでいて犯人がなかなか特定できないってのが面白い。
ミステリではあるが、謎解きというよりも人間ドラマに近い。ほどよいリアリティ、興味深い設定、ほど良くディフォルメされたキャラが立っている点などが良い。
ルールは破るためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受ける時なのです
高階教授のこの言葉がこの作品一番の名台詞。
投稿者 Songmu : 03:25
2006年7月26日
容疑者Xの献身
「白夜行」を読んだのは上海だった。留学中、読む本がなくなって、途方にくれていた時に当時高校4年生の友人が貸してくれたのを覚えている。この本も恋人が持っていたのを借りた。なんか大学のゼミで使ったらしい。
この本は同じく東野圭吾の本で直木賞とかで話題にもなっているらしい。非常に軽いつくりで、読みやすかった。2時間弱で読み終わってしまった。これは私にしたら速い方。だから万人受けしたのかなぁとも。白夜行はそこそこ時間がかかった気がした。
この作者はありそうでなさそうな話を書くのが上手い。リアリティに富んでいるのだが、現実離れしている、そんな話。白夜行のキーを握る女性にしてもそうだし、この作品の動機や、トリックにしてもそうだ。正に「事実は小説より…」の逆を行く。それでいて時代背景なんかを良くつかんでいるから唸る。
ただ、純愛を書きたかったらしいが、ちょっと空回りしてしまった間が否めない。どうしてもその純愛に対する不気味さのようなものが後に残る。石神という登場人物は個人的には共感できる部分も多い良いキャラクターだと思ったが、その素材を書ききれなかった感がある。惜しい。
また、殺人を犯すパターンは東野圭吾お決まりの男女関係のトラウマであり、そのあたりも安易だった感じがする。
えてして、直木賞受賞作ってのは、それほど面白くない。むしろその作品の数作前がピークだったりするもんだ。江國香織然り、桐野夏生然り、大沢在昌然り、宮部みゆき然り、京極夏彦然り、山田詠美然り(とは言ってもこの辺は私の好きな作家ですので勘違いなさらぬよう)。残念ながらこの作品もそのパターンに嵌ってしまっている。
大沢在昌は新宿鮫シリーズでマンネリに陥ったまま、その第4作で直木賞を受賞してしまったが、第6作でマンネリを吹き飛ばす見事な話を書いた。宮部みゆきはまだ迷走を続けている。山田詠美は同じ話しか書けなくなってしまったし、江國香織はそのおしゃれっぽい文体を悪い方向に磨きを書け、同じクオリティの話すら書けなくなってしまった。京極夏彦はデビュー当時のパワーはなくなりかけている感があるが、この夏次回作にまだ期待している。桐野夏生はよくわからない。
てことで東野圭吾にもパターンからの脱却と、更なる飛躍を期待したい。
投稿者 Songmu : 02:28
2006年7月20日
カッコウはコンピュータに卵を産む
前回、クリフォードストールをぼろくそに言ってしまったので、けなしっぱなしでは流石に失礼なので、ちょっと良いほうの本も紹介してみよう。この本は、お勧めである。上下分冊だが、内容が軽いので、ボリュームはあまり感じられない。
この本は、筆者が管理しているネットワークで、ハッカーの足跡を見つけてしまったところから話は始まり、追跡を続けているうちに、結果的に歴史的なハッキング事件に立ち会ってしまうという実話を書き留めたものだ。コンピュータの専門化ではなく、本業は天文学者の筆者がハッカーを追跡していくのはなかなか痛快でもある。
ハッキングなんて概念がそもそもないに等しく、それ自体に違法性がまったく問うことができず、そのせいで追跡を途中で断念しかけたなどと、当時のインターネット黎明期の社会状況もなかなかよく映し出されていて、そこも興味深い。
正義感に燃える性質でもない筆者が、半ば意地になってハッカーを追跡しているさまなど、ところどころに感じられる筆者の人間臭さも良い味を出している。
Unixに少し触れたことのある人なら、ニヤっとするような描写がでてくるのもエッセンスになっている。コンピュータに詳しくない人もそういったところは読み飛ばしてしまえば、ストーリをつかむのに苦労はしないと思われる。
ちょっと意地悪く読むと、翻訳が微妙なところが結構あるね。こういう最新(当時)の技術用語が多く出てくるストーリーの翻訳は難しいよなぁと感じたね。技術者が訳せるものでもないし、普通の翻訳家単体だと荷が重いだろうから。
考えてみたら、この本を読んでから「インターネットはからっぽの洞窟」を読むとまだ、楽しめる要素はあるね。筆者のゴーストライター疑惑の話とか。でも、この本を読まないで「インターネットは…」を読むとそれこそまったく楽しめる要素がないね。単体で面白みを持たない本には何の価値もないわけだけど。
ちなみにこの本は、アマゾンなんかで買わなくてもよい。そこらのBookOffに行けば100円で転がっている。
投稿者 Songmu : 03:15
2006年7月19日
インターネットはからっぽの洞窟
この本は、全然お勧めじゃないです。先日、ビーイング・デジタルの書評を書いたときに、「この本は驚くほど陳腐化していない」てなことを書いたが、この本は、「悲しいほど、陳腐化してしまった本」と言える。
著者の前著、「カッコウはコンピュータに卵を産む」(以下「カッコウ」)が面白かったものだから、この本も買ったのだが、悲しいかな、この本は、「カッコウ」で有名になってしまった著者がついうっかり世の中へメッセージを発信してしまった本としか言いようがない。
「カッコウ」では、彼のアナーキーさ、ニヒルさ、ユルさがよく出ていて、共感できたのだけどね。コンピュータが好きだけど、別に特別好きってわけじゃない。コンピュータに振り回されたくないけど、それでも、ハッカーの存在に気がついてしまったし、普通の人よりかはコンピュータの知識があるもんだから、少し意地を張りながらも、状況を楽しみながらハッカーを追跡する、そういう彼自身の存在がうまく描けていた。
この本は、そんな風にコンピュータ関係では一般人にとって、ちょっとした名前になった著者が書いたエッセイで、コンピュータが広まっていく社会に対しての警鐘を鳴らしているのだが、今となってはどれも月並みなものでしかないし、当時としてもどうなのだろうか。
月並みでも正しいのならまだ許せるのだが、今となっては的外れなものが殆どなのが悲しい。「そんなこと実現しっこない」という表現が盛んに出てくるが、残念ながら、今や実現してしまっているものがほとんどだ。彼がネックにしたがっていたデータ転送速度の話なんかは、それこそ、これより前に出版されたビーイング・デジタルですでに触れられているDSL技術によってほぼ解消可能なのである。今や光ファイバーだしね。
結局、筆者が警鐘を鳴らすべきだったのは、「すべてを情報化するなんて実現するわけないからそんなことやっても無駄だ」ということではなく「性質の悪いことに、それが実現してしまったらどうするか」ということであったと思う。筆者風に言うならば、更に情報が溢れかえってしまって、より手に負えなくなってしまった社会。筆者がそういった社会が想像でき、そういった社会の中での心構えみたいなものが書ければ、この本はもう少しましな本になったと思う。
投稿者 Songmu : 02:01
2006年7月 9日
ビーイング・デジタル―ビットの時代
記念すべき書評の最初を飾るのは、最近$100PCなんかで話題のニコラス・ネグロポンテ氏が1995年に書いた、ビーイング・デジタルである。
これからのコンピュータテクノロジーの進化の方向性や、最新の技術(当時)、などが、書かれてるのだが、現在読んでも殆ど陳腐化していないところが驚かされる。例えば、1995年当時から、xDSLについて言及してあるところなどだ。
また、コンピュータの進化の目標は、「人間になること」である、とはっきり書かれている。はっきり言って、この本を読むまでは、同じ意見を聞いても、眉唾な意見にしか思えなかったが、この本を読むと、一理あるなと頷かされる。
結局、人間は、単純なわずらわしい作業を代行してくれる秘書的な存在が欲しいのであり、それをコンピュータに求めているというわけだ。
また、それにからめてだが、音声認識や、文字認識などは一般的に汎用性が求められることが多いが、それが間違いだとも言っている。例えば、誰の音声でも認識できるようにするよりかは、特定の個人の声が確実に聞き取れるようになったほうが有益だというのだ。そういった、個人用にカスタマイズされたコンピュータを各人が持てばよいという考えで、これは非常に目から鱗が落ちた。技術者ってのはつい汎用的なものを作りたがってしまうからね。
書かれている文章も平易だし、専門用語も少ないので、一般の人でも読めるし、読んだほうが良い名著だと思う。
投稿者 Songmu : 01:59
書評
去年からしばらく凍結していたBlogだが、そもそも再開を考えたのは、amazonアソシエイトでもやって、書評でも書いてみようかと思っていたからだった。今更思い出した。
これは自分自身の読書管理も兼ねているわけだ。うまくやればね。てことで、ちょこちょこ書評を追加していくつもり。
投稿者 Songmu : 01:56